雑穀食がもたらした“飯碗”文化

子供の頃から手に茶碗を持って食事するのが日本の食文化でしたが、世界と比較するとどうやら異なります。西洋は皿とナイフとフォークの食卓ですし、身近な中国や韓国でも茶碗を口につけて箸で食べる習慣はありません。陶器も有田焼や清水焼、備前焼、九谷焼と賑やかですし、味噌汁やお吸い物をいただく輪島塗などの漆器の椀と日本独自の食器なのですが、この食生活のルーツは雑穀食がもたらした食文化だと言われています。
白米を主食とするようになったのは、戦後ですがそれまでは、古来の糅飯や雑炊が中心でしたから日常的に使って食器も碗(椀)と箸(短箸)で飯碗を口につけて箸でかきこむ食生活だったのです。
雑穀を様々な形で主食にしたため今の手で持って口元に運ぶつつましやかな“一汁一菜”の食文化が根づき、陶器や漆器の椀でなくても一人ひとりの決まった食器で食事をする文化は雑穀食がルーツなんですね。