東北の「戸(へ)」の付くまちは、馬とヒエの産地です。

青森県、岩手県には「戸(へ)」の付く地名が、一戸(いちのへ)から九戸(くのへ)までありましたが、現在は四戸(しのへ)は縁起が悪いからと変わりました。青森県に5つ、岩手県に3つの「戸」の地名がありますが「戸」の由来は、厩(うまや)の戸という意味で、南部藩は馬の生産地で官営牧場を九つの区画に分けて管理していた名残です。
もう一つの「戸」の由来になったのは、この地区で作られていた雑穀の「ヒエ」が「戸」の語源になったという説です。ヒエの実は人が食べ、脱穀後の殻や茎を馬の飼料にし、堆肥は雑穀畑で活用する“循環式農業”が早くから定着していたそうです。
「ヒエ」は生命力が強く、天明や天保の大冷害による飢饉をこの「ヒエ」で乗り越えています。厩(うまや)の戸、ヒエからの語源からの「戸(へ)」、どちらも循環式農業からの由来として「戸(へ)」の地名があると思うと納得の「戸」に思えます。地図を開いて地名の「戸」を探すのも楽しい時間ですが、どうでしょうか。