「あわ飯」風土記

「あわ」は、“あわ粒ほど”と言われるように五穀のうち実が最も小さい雑穀ですが、なかなか多様な食材として使われています。
お米にあわを混ぜて炊く「あわ飯」は現代でも定番ですが、茨城では麦飯にあわを混ぜて「三穀飯」となり、熊本の植木町では丸麦を使って「三穂飯」と呼び、これにからいもを入れて炊くこともあります。岡山の笠岡では、さいの目に切った芋を入れて「あわのいも飯」となります。福島の常葉町では、粘りのあるもちあわを蒸かして食べる「あわぶかし」があります。静岡の松崎町では、秋の新あわを新米のもち米に混ぜて秋にとれた大豆を入れて炊きこむ「あわの炊きおくわ」をつくります。岩手の九戸では、赤かぶを煮てそれにもちあわとそば粉を入れて、とろりとさせたかゆ「かぶえ」があり、江戸時代の飢饉のさい救荒食となったそうです。「あわもち」は現在でも定番ですが、どれをとっても“健康食”で、食べたくなります。